第7章 普遍時制

7.1.普遍時制と現在時制

普遍時制とは,現在,過去,未来にわたって,特定の「時」を持たない時制をいう.時間を限定されない一般的真理,普遍的なことがらなどがこれにあたる.しかしもっと広く解釈して,特に時間を指定しない動作,状態に対しても用いられる.会話体のスワヒリ語では,この機能が現在時制で代用されることが多く,普遍時制は文章体の表現である.普遍時制と現在時制を使い分ける文章体の表現では,現在時制が「現在という時間帯で行われている動作,状態」を示す時制に限定して使われる.
普遍時制を表す時制辞は,肯定形が a である.位置は現在時制辞と同じく,主辞と動詞語幹の間におかれる.普遍時制辞 a は主辞と結合して音韻変化を起こす.このときの音韻変化は,所有形容詞 -a をつくるときの主辞+ a の変化と共通している.
普遍時制には否定形があり,主辞の前に否定辞 ha をつけ,さらに動詞語幹の語尾の母音 a を i に変える.ただし,この母音の変化は,語尾が a で終わる動詞についてだけで,それ以外の母音で終わる動詞については無変化である.この動詞語尾の母音変化は,普遍時制の否定形だけにあらわれる特殊なものなので,これを普遍時制の否定の時制辞と考えることができる.現在時制などの時制辞と違って位置が末尾に来るので,このような時制辞を特別に「時制接尾辞」と呼ぶことにする.
この時制辞 -i は動詞語幹の語尾が a で終わるものについてのみ実際の形となってあらわれる.しかし,これは語尾が a で終わらない動詞については普遍時制の否定形が作られないという意味ではない.そのような動詞の場合には,否定辞 ha だけで時制辞 -i をとらずに否定形をつくる.この場合には,時制辞 -i が脱落してしまっていると考えることができる.
次に,実際の動詞 kupata「得る」と kuhusu「関係する」をとりあげて,普遍時制の変化のようすを示す.語尾が a で終わる動詞は kupata と,それ以外の母音で終わる動詞はkuhusu と同じ変化をする.普遍時制では,単音節動詞 kula「食べる」や kwenda「行く」などの動詞も,2音節以上の動詞と同様の変化をするので,不定時制接辞の ku をつけない.

名詞
接辞
名詞
代名
主辞 pata「得る」 husu「関係する」
肯定 否定 肯定 否定

mimi
ni
私は
napata
私は得
sipati
私は得ない
nahusu
私は関係す
sihusu
私は関係しな

sisi
私た
tu
私たち
twapata
私たちは
得る
hatupati
私たちは
ない
twahususu
私たちは関
係する
hatuhusu
私たちは関係
しない

wewe
あな
u
あなた
wapata
あなた
得る
hupati
あなたは得
ない
wahusu
あなたは関
係する
huhusu
あなたは関係
しない

ninyi
あなた
たち
m
あな
たち
mwapat
あなた
ちは得
hampati
あなたたち
は得ない
mwahusu
あなたた
は関係す
hamhusu
あなたたちは
関係しない
yeye
彼(女
a
yu
彼(女
apata
yuapata
彼(女)は
得る
hapati
彼(女)は得
ない
ahusu
yuahusu
彼(女)は関
係する
hahusu
彼(女)は関係
しない

wao
彼(女
たち
wa
彼(女
たち
wapata
彼(女)
ちは得
hawapati
彼(女)た
は得ない
wahusu
彼(女)た
は関係す
hawahusu
彼(女)たちは
関係しない
mtu
a
yu
彼(女
apata
yuapata
彼(女)は
得る
hapati
彼(女)は得
ない
ahusu
yuahusu
彼(女)は関
係するる
hahusu
彼(女)は関係
しない

watu
人々
wa
彼(女
たち
wapata
彼(女)
ちは得
hawapati
彼(女)た
は得ない
wahusu
彼(女)た
は関係す
hawahusu
彼(女)たちは
関係しない

m mti
u
それは
wapata
それは
haupati
それは得な
wahusu
それは関係
する
hauhusu
それは関係し
ない

mi miti
木々
i
それら
yapata
それら
得る
haipati
それらは得
ない
yahusu
それらは関
係する
haihusu
それらは関係
しない


ny nyota

(単数
i
それは
yapata
それは
haipati
それは得な
yahusu
それは関係
する
haihusu
それは関係し
ない

ny nyota

(複数
zi
それら
zapata
それら
得る
hazipati
それらは
ない
zahusu
それらは関
係する
hazihusu
それらは関係
しない

ki kit
もの
(単
ki
それは
chapata
それは得
hakipati
それは得
chahusu
それは関係
する
hakihusu
それは関係し
ない

vi vit
もの
(複
vi
それら
vyapata
それらは
得る
havipati
それらは
ない
vyahusu
それらは関
係する
havihusu
それらは関係
しない

ji jiw

(単
li
それは
lapata
それは
halipati
それは得
lahusu
それは関係
する
halihusu
それは関係し
ない

ma maw

(複
ya
それら
yapata
それら
得る
hayapati
それらは
ない
yahusu
それらは関
係する
hayahusu
それらは関係
しない

Y

u utu
人間性
(単数
u
それは
wapata
それは
haupati
それは得な
wahusu
それは関係
する
hauhusu
それは関係し
ない
pa mahal
場所
pa
ここは
papata
ここは
hapapati
ここは得
pahusu
ここは関係
する
hapahusu
ここは関係し
ない
ku ku
そこは
kwapata
そこは得
hakupati
そこは得
kwahusu
そこは関係
する
hakuhusu
そこは関係し
ない
m m
そこは
mwapata
そこは得
hampati
そこは得な
mwahusu
そこは関係
する
hamhusu
そこは関係し
ない

現在時制には否定形がないので,この時制の否定形は現在時制の否定形もかねている.したがって,否定形については普遍時制と現在時制をあわせもった時間帯に対して使われる.
Napata pesa.「私は金を得る.」 Sipati pesa.「私は金を得ない.」
Mwasoma magazeti.「あなたたちは新聞を読む.」
Hamsomi magazeti.「あなたたちは新聞を読まない.」
Yeye ahusu hospitali.「彼女は病院に関係する.」
Yeye hahusu hospitali.「彼女は病院に関係しない.」
Mtu atembea.「人は歩く.」 Mtu hatembei.「人は歩かない.」
Watu wasafiri Afrika.「人々はアフリカを旅行する.」
Watu hawasafiri Afrika.「人々はアフリカを旅行しない.」
Miti yaota.「木々は成長する.」 Miti haioti.「木々は成長しない.」
Eropleni yadhuru simu.「飛行機は電信をじゃまする.」
Eropleni haidhuru simu.「飛行機は電信をじゃましない.」
Nchi zaendelea.「国々は発展する.」 Nchi haziendelei.「国々は発展しない.」
Kitabu chafaa.「本は役にたつ.」 Kitabu hakifai.「本は役にたたない.」
Vyakula vyatosha.「食料は十分だ.」 Vyakula havitoshi.「食料は十分じゃない.」
Jiwe laanguka.「石が落ちる.」 Jiwe halianguki.「石が落ちない.」
Mafuta yachemka.「油がふっとうする.」 Mafuta hayachemki.「油がふっとうしない.」
Uchumi wategemea ukulima.「経済は農業に依存する.」
Uchumi hautegemei ukulima.「経済は農業に依存しない.」
Paweka joto.「(ここは)暑い.」 Hapaweki joto.「(ここは)暑くない.」
Kwazaa miundo ya ufundi mjini.「町では工業製品を生み出す.」
Hakuzai miundo ya ufundi mjini.「町では工業製品を生み出さない.」
3人称単数(名詞第I類単数)の主辞には,a の他に yu という古い形がある.この主辞は,普遍時制を使った文語調の文に使われる.ただし肯定形だけに使われる.
Yuapata pesa.「彼は金を得る.(Apata pesa.と同じ意味)」

7.2.普遍時制と目的辞

普遍時制においても現在時制と同じく,目的辞は時制辞と動詞語幹の間におかれる.
Sisi twamtii Mfalme. 「私たちは王に従う.」
Watu hawauogopi moto. 「人々は火を恐れない.」
Kimbunga chayaharibu mashamba. 「台風は田畑を破壊する.」
Jua haliizunguki ardhi. 「太陽は地球のまわりをまわらない.」

7.3.普遍時制と関係辞

普遍時制の肯定形が関係辞をともなう場合には,時制辞 a が欠落し,関係辞は動詞語幹の後ろにおかれる.単音節動詞も語幹だけが続くので,不定時制接辞の ku をつけてはいけない.
普遍時制の否定形が関係辞をともなう場合には,否定辞 ha ではなく否定辞 si を使う.この否定辞 si は主辞の後ろにおかれ,その後ろに関係辞がくる.この否定辞 si を否定辞 ha と区別するため,否定辞 ha を第1否定辞,否定辞 si を第2否定辞と呼ぶ.単音節動詞では,不定時制接辞の ku をつけた形が続く.
次に,kupata「得る」と kuja「来る」を用いた例を示す.
名詞
代名詞
pata 「得る」 ja 「来る」
肯定 否定 肯定 否定
1人称 単数 mimi
nipataye
得る私
nisiyepata
得ない私
nijaye
来る私
nisiyekuja
来ない私
複数 sisi
私たち
tupatao
得る私た
tusiopata
得ない私た
tujao
来る私た
tusiokuja
来ない私た
2人称 単数 wewe
あなた
upataye
得るあな
usiyepata
得ないあな
ujaye
来るあな
usiyekuja
来ないあな
複数 ninyi
あなたた
mpatao
得るあなた
たち
msiopata
得ないあなた
たち
mjao
来るあなた
たち
msiokuja
来ないあなた
たち
3人称 単数 yeye
彼(女)
apataye
得る彼(女
asiyepata
得ない彼(女
ajaye
来る彼(女
asiyekuja
来ない彼(女
複数 wao
彼(女)た
wapatao
得る彼(女
たち
wasiopata
得ない彼(女
たち
wajao
来る彼(女
たち
wasiokuja
来ない彼(女
たち
第T類 単数 mtu
apataye
得る彼(女
asiyepata
得ない彼(女
ajaye
来る彼(女
asiyekuja
来ない彼(女
複数 watu
人々
wapatao
得る彼(女
たち
wasiopata
得ない彼(女
たち
wajao
来る彼(女
たち
wasiokuja
来ない彼(女
たち
第U類 単数 mti
upatao
得るそれ
usiopata
得ないそれ
ujao
来るそれ
usiokuja
来ないそれ
複数 miti
木々
ipatayo
得るそれ
isiyopata
得ないそれ
ijayo
来るそれ
isiyokuja
来ないそれ
第V類 単数 nyota
星(単数)
ipatayo
得るそれ
isiyopata
得ないそれ
ijayo
来るそれ
isiyokuja
来ないそれ
複数 nyota
星(複数)
zipatazo
得るそれ
zisizopata
得ないそれ
zijazo
来るそれ
zisizokuja
来ないそれ

第W類 単数 kitu
もの(単数
kipatacho
得るそれ
kisichopata
得ないそれ
kijacho
来るそれ
kisichokuja
来ないそれ
複数 vitu
もの(複数
vipatavy
得るそれ
visivyopat
得ないそれ
vijavyo
来るそれ
visivyokuj
来ないそれ
第X類 単数 jiwe
石(単数)
lipatalo
得るそれ
lisilopata
得ないそれ
lijalo
来るそれ
lisilokuja
来ないそれ
複数 mawe
石(複数)
yapatayo
得るそれ
yasiyopata
得ないそれ
yajayo
来るそれ
yasiyokuja
来ないそれ
第Y類 単数 utu
人間性
upatao
得るそれ
usiopata
得ないそれ
ujao
来るそれ
usiokuja
来ないそれ
第Z類 pa mahali
場所
papatapo
得るここ
pasipopata
得ないここ
pajapo
来るここ
pasipokuja
来ないここ
ku kupatako
得るそこ
kusikopata
得ないそこ
kujako
来るそこ
kusikokuja
来ないそこ
m mpatamo
得るそこ
msimopata
得ないそこ
mjamo
来るそこ
msimokuja
来ないそこ
次に,肯定の普遍時制で関係辞を使った例を示す.
mimi nisomaye「読書する私」, ninyi mchekao「笑うあなたたち」
mtu atembeaye「歩く人」, miti iotayo「成長する木々」
nchi ziendeleazo「発展する国々」, kitabu kifaacho「役にたつ本」
mafuta yachemkayo「ふっとうする油」, uchumi utegemeao「依存する経済」
否定の普遍時制で関係辞を使うと次のようになる.
mimi nisiyesoma「読書しない私」, ninyi msiocheka「笑わないあなたたち」
mtu asiyetembea「歩かない人」, miti isiyoota「成長しない木々」
nchi zisizoendelea「発展しない国々」, kitabu kisichofaa「役にたたない本」
mafuta yasiyochemka「ふっとうしない油」, uchumi usiotegemea「依存しない経済」

7.4.普遍時制のけい辞

けい辞には,一般に使われる ni の他に,普遍時制特有のけい辞がある.普遍時制のけい辞は形態上各人称の主辞と同じになる.ただし,3人称単数(名詞第I類単数)については古い形の主辞 yu が使われる.普遍時制のけい辞が使われることはまれで,ほとんど一般のけい辞 ni で代用される.
普遍時制のけい辞は,もともと古い動詞 *li「〜である」からつくられた動詞形であって,古くは *nili「私は〜だ」,*tuli「私たちは〜だ」のような形をとっていたと考えられている.ところがやがてこの動詞語幹である *li が脱落して,主辞の部分だけがけい辞として使われるようになったのである.

7.5.けい辞の強調形と関係辞のついたけい辞

けい辞には「〜だ」というときの一般的な形の他に,意味を強めて「まさに〜である」という強調形がある.このときには,古い動詞 *li「〜である」がそのまま残り,主辞の代わりに,人称代名詞の短縮形,または各名詞類の関係辞が後ろに接着する.ただし,強調のために *li- は ndi- と変化する.この強調形の否定では,ndi の代わりに第2否定辞の si がおきかわった形をとる.たとえば,1人称単数では ndi の後ろに人称代名詞 mimi「私」の短縮形 mi を接着させて,ndimi「私はまさに〜だ」となる.この否定形は ndi を si におきかえて,simi「私は〜じゃない」となる.
けい辞に関係辞をつけて「〜であるところの」という意味をもたせるときも,古い動詞*li はそのまま残され,「主辞+動詞語幹+関係辞」という形をとる.この否定形では,li の代わりに第2否定辞の si がそのまま動詞語幹の役目をはたす.
普遍時制のけい辞をまとめると次のようになる.
名詞
接辞
名詞
代名詞
けい辞 強 調 形 関係辞のついた形
肯定 否定 肯定 否定
1人称 単数 mimi
ni
私は〜
ndimi
私はまさ
に〜だ
simi
私は〜じ
ゃない
niliye
〜であ
nisiye
〜じゃ
い私
複数 sisi
私たち
tu
私たち
は〜だ
ndisi
私たちは
まさに〜
sisi
私たちは
〜じゃな
tulio
〜である
私たち
tusio
〜じゃな
い私たち
2人称 単数 wewe
あなた
u
あなた
は〜だ
ndiwe
あなたは
まさに〜
siwe
あなたは
〜じゃな
uliye
〜である
あなた
usiye
〜じゃな
いあなた
複数 ninyi
あなたた
m
あなた
たちは
〜だ
ndinyi
あなた
ちはま
に〜だ
sinyi
あなたた
ちは〜じ
ゃない
mlio
〜である
あなたた
msio
〜じゃな
いあなた
たち

3人称 単数 yeye
彼(女)
yu
彼(女
は〜だ
ndiye
彼(女)は
まさに〜
siye
彼(女)は
〜じゃな
aliye
〜である
彼(女)
asiye
〜じゃな
い彼(女
複数 wao
彼(女)た
wa
彼(女
たちは
〜だ
ndio
彼(女)た
ちはまさ
に〜だ
sio
彼(女)た
ちは〜じ
ゃない
walio
〜である
彼(女)た
wasio
〜じゃな
い彼(女
たち
第T類 単数 m mtu
yu
彼(女
は〜だ
ndiye
彼(女)は
まさに〜
siye
彼(女)は
〜じゃな
aliye
〜である
彼(女)
asiye
〜じゃな
い彼(女
複数 wa watu
人々
wa
彼(女
たちは
〜だ
ndio
彼(女)た
ちはまさ
に〜だ
sio
彼(女)た
ちは〜じ
ゃない
walio
〜である
彼(女)た
wasio
〜じゃな
い彼(女
たち
第U類 単数 m mti
u
それは
〜だ
ndio
それは
さに〜
sio
それは
じゃな
ulio
〜である
それ
usio
〜じゃな
いそれ
複数 mi miti
木々
i
それら
は〜だ
ndiyo
それらは
まさに〜
siyo
それらは
〜じゃな
iliyo
〜である
それら
isiyo
〜じゃな
いそれら
第V類 単数 ny nyota
星(単数
i
それは
〜だ
ndiyo
それは
さに〜
siyo
それは
じゃな
iliyo
〜である
それ
isiyo
〜じゃな
いそれ
複数 ny nyota
星(複数
zi
それら
は〜だ
ndizo
それらは
まさに〜
sizo
それらは
〜じゃな
zilizo
〜であ
それら
zisizo
〜じゃ
いそれ

第W類 単数 ki kitu
もの(単
数)
ki
それは
〜だ
ndicho
それは
さに〜
sicho
それは
じゃな
kilicho
〜である
それ
kisicho
〜じゃな
いそれ
複数 vi vitu
もの(複
数)
vi
それら
は〜だ
ndivyo
それら
まさに
sivyo
それらは
〜じゃな
vilivyo
〜である
それら
visivyo
〜じゃな
いそれら
第X類 単数 ji jiwe
石(単数
li
それは
〜だ
ndilo
それは
さに〜
silo
それは
じゃな
lililo
〜であ
それ
lisilo
〜じゃ
いそれ
複数 ma mawe
石(複数
ya
それら
は〜だ
ndiyo
それらは
まさに〜
siyo
それらは
〜じゃな
yaliyo
〜であ
それら
yasiyo
〜じゃ
いそれ
第Y類 単数 u utu
人間性
u
それは
〜だ
ndio
それは
さに〜
sio
それは
じゃな
ulio
〜である
それ
usio
〜じゃな
いそれ
第Z類 複数 pa mahali
場所
pa
ここは
〜だ
ndipo
ここは
さに〜
sipo
ここは
じゃな
palipo
〜であ
ここ
pasipo
〜じゃ
いここ
単数 ku ku
そこは
〜だ
ndiko
そこは
さに〜
siko
そこは
じゃな
kuliko
〜であ
そこ
kusiko
〜じゃ
いそこ
複数 m m
そこは
〜だ
ndimo
そこは
さに〜
simo
そこは
じゃな
mlimo
〜である
そこ
msimo
〜じゃな
いそこ
Mimi ni mwanasheria. Sisi tu wanasheria. 「私(たち)は法律家である.」
Wewe u hali gani? Ninyi m hali gani? 「ごきげんいかが(どんなようす)ですか?」
[注]gani は「どんな〜」を意味する疑問の形容詞.
Yeye yu shujaa. Wao wa shujaa. 「彼(ら)は英雄である.」
Mkono u kifaa. Mikono i kifaa. 「手は役にたつものだ.」
Dunia i kiumbe cha Mungu? Dunia zi viumbe vya Mungu? 「世界は神の創造物か?」
Kisu ki zana. Visu vi zana. 「ナイフは器具だ.」
Jicho li dirisha la moyo. Macho ya dirisha la moyo. 「目は心の窓である.」
Ubaguzi u ubaya. 「差別は悪だ.」

普遍時制のけい辞は,やや古風な表現である.このけい辞を使うとき,形態が他の形と似ているものは,まぎらわしくないように注意しなければならない.
Mimi ndimi mgonjwa. Sisi ndisi wagonjwa.「私(たち)はまさに病人だ.」
Wewe siwe mwizi. Ninyi sinyi wezi. 「あなた(たち)はどろぼうじゃない.」
yeye aliye abiria, wao walio abiria 「通勤者である彼(ら)」
mchezo usio kiburudisho, michezo isiyo viburudisho 「気ばらしじゃないスポーツ」
Lugha ndiyo kifaa cha mawasiliano. Lugha ndizo vifaa vya mawasiliano.
「言語はまさに情報伝達の道具である.」
Kitunguu sicho aina ya tunda. Vitunguu sivyo aina za matunda.
「タマネギは果物の一種じゃない.」
jeshi lililo mlinzi, majeshi yaliyo walinzi 「防衛隊としての軍隊」
udongo usio uchafu 「汚れてない土」
Ndipo uhuru. 「ここは本当に自由がある.」
Siko moshi. 「そこには火なんかない.」
(mahali) mlimo weusi 「中が暗いところ」
kuliko は「〜よりも」という意味で形容詞の比較に使われる.このとき副詞の zaidi「もっと」をともなうことが多い.
Ana pesa nyingi zaidi kuliko mimi.「彼は私よりもたくさんの金を持っている.」
第V類単数の強調形 ndiyo は,疑問文に対する答えの文で「はい,そうです」の意味で独立して使われる.
Unaelewa Kiingereza? Ndiyo.「あなたは英語がわかりますか? はい.」
第W類複数否定の強調形 sivyo は,文末につけられて「〜じゃないですか」と相手の念を押す意味でよく使われる.このとき,前の文と sivyo の間は句読点[,]で区切られ,さらに疑問符[?]が文末につけられる.しかし,イントネーションは下がり調子で発音される.
Simu yapeleka sauti, sivyo? 「電話は声を送るんだろう,違うかい?」

7.6.主辞+名詞第Z類接辞の関係辞 -po, -ko, -mo

「場所」を表す名詞第Z類の接辞の関係辞 -po, -ko, -mo は,動詞をともなわずにそのまま主辞(正確には普遍時制のけい辞)と結びついて,「ある,いる」という存在を表す意味で使われる.この後ろには「〜に」という意味で場所を示す語が続くが,これには 「場所」を示す接尾辞 -ni がついた名詞がくることが多い.接辞 po, ko, mo の使い分けは,後ろに続く場所が「比較的せまい地点」か「広い場所」か「内部を示す場所」であるかなど,状況による.この表現の否定形では否定辞の ha を前につける.
次に,各人称による変化のようすを示す.なお,3人称と名詞第T類の変化は共通しているので,これ以降はさしつかえないかぎり同じ欄におくことにする.
主辞 場所を表す接辞 意 味
po ko mo
1人称
肯定 ni nipo niko nimo 私は〜にいる
否定 si sipo siko simo 私は〜にいない

肯定 tu tupo tuko tumo 私たちは〜にいる
否定 hatu hatupo hatuko hatumo 私たちは〜にいない
2人称
肯定 u upo uko umo あなたは〜にいる
否定 hu hupo huko humo あなたは〜にいない

肯定 m mpo mko mumo あなたたちは〜にいる
否定 ham hampo hamko hamumo あなたたちは〜にいない
3人称
第T類

肯定 yu yupo yuko yumo 彼(女)は〜にいる
否定 hayu hayupo hayuko hayumo 彼(女)は〜にいない

肯定 wa wapo wako wamo 彼(女)たちは〜にいる
否定 hawa hawapo hawako hawamo 彼(女)たちは〜にいない
第U類
肯定 u upo uko umo それは〜にある
否定 hau haupo hauko haumo それは〜にない

肯定 i ipo iko imo それらは〜にある
否定 hai haipo haiko haimo それらは〜にない
第V類
肯定 i ipo iko imo それは〜にある
否定 hai haipo haiko haimo それは〜にない

肯定 zi zipo ziko zimo それらは〜にある
否定 hazi hazipo haziko hazimo それらは〜にない
第W類
肯定 ki kipo kiko kimo それは〜にある
否定 haki hakipo hakiko hakimo それは〜にない

肯定 vi vipo viko vimo それらは〜にある
否定 havi havipo haviko havimo それらは〜にない
第X類
肯定 li lipo liko limo それは〜にある
否定 hali halipo haliko halimo それは〜にない

肯定 ya yapo yako yamo それらは〜にある
否定 haya hayapo hayako hayamo それらは〜にない

第Y類
肯定 u upo uko umo それは〜にある
否定 hau haupo hauko haumo それは〜にない
第Z類 肯定 papo kuko mumo そこは〜にある
否定 hapapo hakuko hamumo そこは〜にない
Nipo kitandani. 「私はベッドにいます.」 Tuko sokoni.「私たちは市場にいる.」
Umo chumbani.「あなたは部屋の中にいる.」 Mpo jikoni.「あなたたちは台所にいる.」
Hayuko shuleni. 「彼は学校にいない.」 Wanaume wamo mwituni.「男たちは森の中だ.」
Mguu umo majini.「足を水に入れてる.」 Mimea haiko majangwa.「植物は砂漠にない.」
Mvua iko karibu.「雨は近い.」 Magari hazipo uwanjani.「車は空き地においてない.」
Kijiko kipo sahanini.「スプーンは皿においてある.」 Vitu vimo.「中にものがある.」
Dawa lipo mezani.「薬がテーブルにある.」 Mayai hayako.「たまごはありません.」Ukumbusho umo moyoni.「思い出は心の中にある.」
Mahali hapapo juu.「上には場所がない.」 Kuko mbali.「そこは遠くにある.」