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第2章 あいさつ,名詞第T類,第U類,人称代名詞,けい辞

2.1.かんたんなあいさつの表現


スワヒリ語のかんたんなあいさつとしては,次のように言うのが一般的である.

Jambo.「こんにちは.」
このあいさつの表現はこれだけで完全な文になる.スワヒリ語の文は,英語などと同じようにはじめを大文字で書き,終わりに終止符[.]をうつ.したがって,この書き方の原則にしたがっているもの,たとえば Jambo. などはれっきとした文とみなされる.

このあいさつのことばは,だれに対してもどのような場面でも使えるもので,最初にあいさつを始める人も,それにこたえる人も同じ表現になる.もともとこのあいさつは,正式なあいさつ文を聞きまちがえたことからできたといわれるが,今日ではごくふつうのあいさつ表現としてよく使われる.ただし人によっては,この文が正式ではないので嫌う向きもある.

もっと正式なあいさつ表現としては,次のような言い方がある.

Hujambo? 「(あなたは)げんきですか?」
Sijambo. 「(わたしは)げんきです.」
この文では,最初にあいさつをはじめる人とそれに受けこたえをする人が別の表現になる.これらは表面的には,疑問文とそれに対する応答文(受けこたえの文)になっている.スワヒリ語では,疑問文がイントネーションの差で区別され,語尾をやや上げ調子で発音される.ところが,あいさつ文 Hujambo? 「(あなたは)げんきですか?」はこの例外で,疑問文の形で書かれるにもかかわらず,実際は語尾を下げ調子で発音されるのがふつうである.これは,表面的には相手の状況をたずねる文でありながら,意味としてはただ慣用的な決まり文句を述べたものにすぎないからである.したがって,それに対するこたえの文も慣用的に Sijambo 「(わたしは)げんきです」だけが使われる.

これらの文の本来の意味は,次のように解釈される.2つの文の共通部分 -jambo(これが語の一部分であることを示すためにハイフン[−]でつなぐ)は「ことがら,問題」というような意味で,ここでは「問題があるかないか,支障なく暮らしているかどうか」をたずねるために使われている.Hujambo の hu- とは「あなたは〜じゃない」という意味を表し,Hujambo? 全体では「あなたは問題がないですか?」とたずねていることになる.こたえの文でも,Sijambo の si- は「わたしは〜じゃない」という意味で,Sijambo 全体では,「わたしは問題がありません」とこたえていることになる.このようにもとの意味を追求していくと,簡略化されたあいさつ文 Jambo は,論理にあわない表現ということになるのだが,実際にはあまり意識されていない.

また,Hujambo? Sijambo のやりとりは,相手が1人(単数)のときのあいさつの表現で,相手が2人以上(複数)のときは次のように言わなければならない.

Hamjambo? 「(あなたたちは)元気ですか?」
Hatujambo.「(わたしたちは)元気です.」
これらの文で,Hamjambo の ham- は「あなたたちは〜じゃない」の意味,またこたえの文Hatujambo の hatu- は,「わたしたちは〜じゃない」の意味である.したがって,このあいさつ文は「あなたたちは問題がないですか?」に対して「わたしたちは問題がありません」とこたえていることになる.内容的には,単数(1人)に対するあいさつ文と変わりはない.

この表現の応用として,第3者(彼,彼女)についてその近況をたずねることもできる.「彼(彼女)は元気ですか?」という意味の文は,Hajambo? という.これに対して,「彼(彼女)は元気です」とこたえる文はイントネーションだけが変わって Hajambo となる.第3者についても単数と複数の区別があり,「彼(彼女)たちは元気ですか?」「彼(彼女)たちは元気です」のやりとりでは,Hawajambo? Hawajambo と言わなければならない.これらの文でも,Hajambo の ha- は「彼(彼女)は〜じゃない」の意味,Hawajambo の hawa- は「彼(彼女)たちは〜じゃない」の意味である.

スワヒリ語には,以上の他にもさまざまなあいさつの表現がある.それらのほとんどは,あいさつのための特別な用語を使うというよりは,ごくふつうの単語を用いてそれが慣用的にあいさつの表現になる,というものである.

2.2.名詞の種類と接辞

「名詞」とはものの名前を表すことばをいう.名詞はその表す事物の意味によって,いくつかの群(グループ)に分けることができ,スワヒリ語ではその違いを語頭の音によって区別するのが特徴である.たとえば「人」一般に関することばを表す名詞の群は,1人の場合は m- , 複数の場合には wa- で始まる語が多い.あるいは,「木や植物」などからなる名詞の群では1つのものについては m- , 複数については mi- で始まる語が多い.このように,名詞の種類によって語の形態を変えることを「名詞の類別」といい,それぞれの群を「名詞類」あるいは単に「類」という.

また,それぞれの類に特徴的な語頭の音の部分を「名詞接辞」または単に「接辞」と呼ぶ.接辞は,それだけでは独立した語として成り立たないが,1つの意味を持つ単位で語の一部分となる.語の前につくものを接頭辞,語の後ろにつくものを接尾辞という.ただし,スワヒリ語では接辞が語のさまざまな位置につくので,必要でないかぎり接辞という呼び名を使う.また,接辞を m-, wa- のように表すと,語頭につくだけのものと誤解されるので,これも通常は m, wa とだけ書き表す.特に接辞であることを強調するときには,m-, wa- あるいは -m-, -wa- のような書き方もする.スワヒリ語の接辞は名詞だけに限らず,他の品詞(「語」をその働きの面から分類したもの)にも使われる重要な要素である.

名詞から接辞の部分を除いたものを「語幹」という.たとえば,「ひとりの人」を意味する語 mtu では,m- が人を表す接辞で -tu が語幹である.この語幹には他の接辞がつけられて watu (wa-tu)「人々」,kitu (ki-tu)「1つのもの」,vitu (vi-tu)「複数のもの」のようにさまざまな語をつくる.語幹そのものも語の意味を形成する主要な部分である.しかしスワヒリ語では,語幹だけで独立した語として用いられることはまれで,たいてい「接辞+語幹」という形で完全な語になることが多い.

スワヒリ語の名詞は,単数(ひとり,1つなど)と複数(ふたり以上,2つ以上)を名詞類の違いとして区別する.しかしここでは便宜上,単数と複数を同一の類の中に含めて「数」の区別を別の基準として扱うことにする.これによって,現代スワヒリ語の名詞類としては,第I類から第Z類まで7つの類が認められる.それぞれの類は固有の接辞(接頭辞)によって区別される.

2.3.名詞第I類 人群

第I類はおもに「人」を意味する語群からなり,単数に m, 複数に wa という接辞を持つ.この類の代表的な名詞は mtu「人(単数)」,watu「人々(複数)」である.名詞は(単数形)/(複数形)の順で示す.
(例)mtu「(ひとりの)人」/watu「(ふたり以上の)人々」 mtoto/watoto「子ども」,mgeni/wageni「客」,mkulima/wakulima「農民」,mke/wake 「妻」,mjukuu/wajukuu「孫」,mzee/wazee「老人」, mtumishi/watumishi「使用人,公務員」,msichana/wasichana「少女」,mvulana/wavulana「少年」,mjomba/wajomba「おじ」,mtawala/watawala「政治家」,mtaalamu/wataalamu「学者」,mfanyikazi/wafanyikazi「労働者」,msemaji/wasemaji「話す人,アナウンサー」,msomaji/wasomaji「読む人」
この類の名詞はほとんど「人一般」を表すが,例外もある.
mnyama/wanyama「動物」, mdudu/wadudu「虫」
国や地域を表す名詞にこの接辞をつけると「〜人」と国籍などを意味する語になる.国や地域などは固有名詞(そのものだけにつけられた名前)なので,語頭を大文字で書く.
Mtanzania/Watanzania「タンザニア人」,Mkenya/Wakenya「ケニア人」,Mswahili/Waswahili「スワヒリ人」,Mkristo/Wakristo「キリスト教徒」

単数接辞の m は,本来の形は mu であると考えられる.ところがこの後ろに語幹が続くと,母音 u が弱められ,ほとんど脱落しているように発音される.そのために,表記上もm とだけ書くのである.スワヒリ語には,第T類単数接辞の他にもこのような例がいくつかある.

語幹が母音で始まる場合には接辞の後ろに母音が続くことになり,この母音の影響によって接辞が音変化を起こす.あるいは表記が変わる.このような変化には規則性があり,第I類の名詞類にかぎらず他の語の接辞変化にも適用される.また,それは一般的なスワヒリ語の音韻の変化にも共通している.このような接辞変化のうち,第I類の名詞にみられるものは次のものである.

(1)単数接辞 m は後ろに母音が続くと mw と書かれる.ただし u が続くときは mw または mu となる.
(2)複数接辞 wa は後ろに母音 a が続くと,連続母音が短縮して waa が wa になる.
(3)複数接辞 wa に母音 i,e が続くと,wa は i,e と融合して we に変化する.

たとえば mwana/wana「むすこ,娘」を例にとると,接辞 m-, wa- に対して語幹の部分は -ana である.つまりそれぞれ,単数形は *m(u)-ana から mwana へ,複数形は *wa- ana から wana へという表記上の変化が起こったためと考えられる.(実際にはありえない語形 *m(u)-ana や *wa-ana を,実在の語形から区別するために,その前に /*/(星印)をつける.)上の規則はこのような変化を説明するものである.また,*m(u)-ana から mwana へ変化したことを示すために,*m(u)-ana → mwana あるいは *m(u)-ana > mwanaのような表記法を使う.

mwizi/wezi「どろぼう」を例にとると,*m(u)-izi → mwizi(単数形),*wa-izi → wezi(複数形)という変化がみられる.このうち複数形における *ai > e の母音変化はスワヒリ語によくみられる一般的な変化で,*ae > e も含めていろいろな語で確認されている.

次に,母音で始まる語幹に対する接辞変化の例を示す.

mwanafunzi/wanafunzi「学生」,mwanachama/wanachama「会員」,mwananchi/wananchi「国民」,mwanakiti/wanakiti「議長」,mwongo/waongo「うそつき」,mwoka/waoka「パン屋」,mwoga/waoga「おくびょう者」,mwenzi/wenzi「仲間」,mwenyewe/wenyewe「所有者」,mwenyeji/wenyeji「現地人,市民」
mwuzaji/wauzaji「販売員」では,単数形が muuzaji ともつづられる.mwuzaji あるいは muuzaji のどちらを書いてもかまわない.これらは2つの異なる発音が存在するということではなくて,単に表記のしかたが2とおり認められているにすぎない.ただし複数形は wauzaji だけである.そこで,単数形だけに2つの形があることを示すために,句読点[,]で区切り,次のように表記する.
mwuzaji,muuzaji/wauzaji「販売員」

語幹が母音で始まるものでも,例外がある.

mume/waume「夫」(mume が *mwume とはならない),mwimbaji/waimbaji「歌手」(waimbaji が *wembaji とはならない),Mwafrika/Waafrika「アフリカ人」(Waafrika が *Wafrika とはならない),Mwislamu/Waislamu「イスラム教徒」,mwandikaji/waandikaji「書く人,作家」
mwalimu/walimu,waalimu「先生」の例では,複数形が walimu と waalimu の両方の書き方が認められている.しかし,ふつうは walimu と書かれることが多い.

mwananchi/wananchi「国民」は,mwana(wana)「むすこ,娘」と nchi「国(第V類の名詞)」という2つの単語(接辞ではない)を連結してできたもので,このような語を合成語という.合成語では,mwanamke/wanawake「女」のように,単数形 mwanamke(<mwana+mke)に対して,複数形が wanawake(<wana+wake)と,合成部分のそれぞれが複数形に変わっている.ただし,mwanamume/wanaume「男」では,複数形が wanaume(<*wana+waume)と,例外的な音変化を起こしている.

2.4.名詞第U類 木群

第U類はおもに「木・植物」「身体の一部」などを意味する語群からなり,単数に m,複数に mi という接頭辞を持つ.この類の代表的な例は mti「木」/miti「木々」である.この他にも次のようなものがあるが,かならずしも「木・植物」に関連したものばかりではない.
mchele/michele「米」,mmea/mimea「植物」,mchungwa/michungwa「オレンジの木」,mpira/mipira「ゴム」,mnazi/minazi「やしの木」,mpunga/mipunga「稲」,mtama/mitama「あわ,ひえなど」,msitu/misitu「やぶ」,mzizi/mizizi「根」,mkono/mikono「手」,mguu/miguu「足」,mdomo/midomo「くちびる」,mlango/milango「戸」,mzigo/mizigo「荷物」,mkasi/mikasi「はさみ」,mswaki/miswaki「歯ブラシ」,mshahara/mishahara「給料」,mfano/mifano「例」,mchezo/michezo「競技,演劇,演奏」,mtihani/mitihani「試験」,mto/mito「川」,mlima/milima「山」,mstari/mistari「線」,mraba/miraba「四角形」
この類でも第T類のときと同じように,後ろに続く語幹によって接辞の音が多少変化する.あるいは表記のしかたが変わる.
(1)単数接頭辞 m は後ろに母音が続くと mw と書かれる.ただし u が続くときは mw または mu となる.
mwitu/miitu「森」,mwili/miili「体」,mwigo/miigo「複製」,mwaka/miaka「年」,mwavuli/miavuli「かさ」,mwundo,muundo/miundo「製品」
(2)後ろに h,w が続いたときに m が mu と書かれるものがある.しかし,発音上はこれまでと同じと考えてよい.
muhogo/mihogo「キャッサバいも」,muhindi,mhindi/mihindi「とうもろこし」,muwa,mua/miwa「さとうきび」
最後の例で mua「さとうきび(単数)」は特殊なつづりである.
(3)例外的な音変化をするものもある.
mungu(<*mwungu)/miungu「神」(「唯一神」を意味するときは単数形 Mungu のみ),moto(<*mwoto)/mioto「火」,moyo/mioyo「心」

2.5.人称代名詞

代名詞とは,名詞の代わりに使われるもので,そのうち「人」に関する代名詞を人称代名詞と呼ぶ.人称代名詞には,1人称(自分自身をさす「わたし」),2人称(相手をさす 「あなた」),3人称(第3者をさす「彼,彼女」)があり,それぞれに単数と複数の区別がある.スワヒリ語では,話している人や話し相手の身分,性別,年齢に応じて,ことばを使い分けることはしない.そのため,そのような区別をした言い方(日本語の「ぼく」と「わたし」の違いなど)はないので,3つの人称,2つの数に応じた6とおりの表現しか存在しない.それらをまとめると次のようになる.
1人称 2人称 3人称
単数 mimi 「わたし」 wewe 「あなた」 yeye「かれ(彼女)」
複数 sisi 「わたしたち」 nyinyi「あなたたち」 wao 「彼(女)たち」
nyinyi は,ninyi と書き、発音してもよい.ただし,そのときの発音が /nini/ のようにならないように注意する.

スワヒリ語の人称代名詞は,特別に人称を強調するときに使われ,通常は省略されることが多い.その代わりに,人称を区別する接辞が発達しているので,それだけでだれがだれに対して言っていることなのか,まぎらわしくなることはない.

2.6.けい辞

けい辞とは「〜です,〜だ,〜でいる」などを意味することばをいう.広い意味では,「動詞(動作や状態をあらわすことば)」の中に含まれる.スワヒリ語のけい辞は ni という語を使う.日本語のように「ていねいな言い方」と「ぞんざいな言い方」の区別はないので,「〜です」も「〜だ」も1とおりの表現で言いあらわされる.
Mimi ni mwalimu.「わたしは教師です.」
上の文で mimi 「わたしは」にあたる,文の中心的な語を「主語」と呼び,mwalimu 「教師」にあたる,主語を説明するような語を「補語」と呼ぶ.スワヒリ語では「主語」+「けい辞」+「補語」の語順で並び,この順序をいれかえてはならない.また,主語の「数」と補語の「数」が一致していなければならない.

Sisi ni walimu.「わたしたちは教師(複数)です.」
けい辞は2つの語の関係を示すもので,場合によってはいろいろな意味をもちうる.また,分脈から意味がとれるときは,けい辞は省略してもかまわない.
Yeye ni mwanafunzi. または Yeye mwanafunzi. 「かれは学生です.」
Ninyi wakulima? 「あなたたちは農民ですか?」
Wao ni Wajapani. 「彼らは日本人だ.」
主語がだれなのか前後の文脈からわかっているときには,主語を省略してけい辞から始まる文も可能である.
Wao ni Wakenya? 「彼らはケニア人ですか?」 Ni Watanzania.「タンザニア人です.」
スワヒリ語のけい辞には「〜だ,〜です」の他に,「〜じゃない,〜じゃありません」のように文をうちけす表現もある.「〜じゃない」のような「否定」の表現を使った文を「否定文」という.これに対して,「〜だ」のように文をそのまま断定的に述べることを「肯定」といい,そのような文のことを「肯定文」という.スワヒリ語のけい辞は,肯定が ni に対して,否定は si である.
Mimi si mwalimu.「わたしは教師じゃない.」
Sisi si walimu.「わたしたちは教師(複数)じゃない.」
否定のけい辞 si は省略することはできない.
Yeye si mwanafunzi.「彼は学生じゃありません.」
Ninyi si wakulima?「あなたたちは農民じゃないの?」
Wao si Wajapani.「彼らは日本人じゃない.」
主語がだれなのか前後の文脈からわかるときには,肯定のけい辞と同じように主語を省略して否定のけい辞からはじまる文も可能である.
Wao Wakristo? 「彼らはキリスト教徒か?」 Si Wakristo.「キリスト教徒じゃない.」