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第4章 名詞第Y類,第Z類,動詞の現在時制

4.1.名詞第Y類 抽象群

第Y類はおもに「抽象的なこと,物質や状態」を意味する語群からなり,u という接辞を持つ.この類の名詞はその性質(数えられないもの)上,本来は単数形だけを持っていたと考えられる.そのため普通名詞として複数形を持つものでは,他の名詞類に移行させて,その類の接辞をつけ加える.複数形では第V類の ny(外見上は n)を接辞として持つことが多い.この複数接辞は第V類のときとまったく同じ音韻変化をする.

第Y類の名詞の代表例として utu「人類,人間性」をあげておく.utu は抽象的な意味を持つために単数の形だけを持ち,複数形を持たない.第Y類ではこのような名詞が多い.数を区別する例としては,ubawa「翼(単数)」がある.これは普通名詞として使われるため単数の他に複数の形があり,複数形では第V類に移行して mbawa「翼(複数)」となる.次にこのような名詞の例をあげる.

ugavu/ngavu「網」,ukuta/kuta「壁」,upepo/pepo「風」,upande/pande「方向」,ukurasa/kurasa「ページ」,ufalme/falme「王国」
これらの複数形はすべて第V類接辞 ny がつけられて変化したものである.この接辞は後続の語幹の音によって次のような特殊な音韻変化を起こす.
(1)複数接辞 ny は後ろに l が続くと l を d にかえる.
ulimi/ndimi「舌」
(2)複数接辞 ny は後ろに w が続くと w を b にかえる.
uwingu/mbingu「空」
以上の名詞は単数については第Y類に,複数については第V類に属するものとみなす.用法などもそれぞれの属する類の用法にしたがう.

第Y類に属する抽象名詞,物質名詞では単数の形だけを持つ.

urafiki「友情」,uchumi「経済」,ukulima「農業」,ufundi「工業,細工」,uzuri「美」,usiku「夜」,uhuru「自由」,ubaguzi「差別」,utamaduni「文化」,udongo「土」,unga「粉」,uji「かゆ」
単数接辞 u は後ろに母音が続くと w に変化する.
wimbo/nyimbo「歌」,wavu/nyavu「網」,wakati/nyakati「時間,とき」,wali「ごはん」,wino「インク」,weupe「白」,weusi「黒,暗闇」,woga「おくびょう」
ただし u が続くときは uu が短縮して u となる.例外もある.
uzi/nyuzi「糸」, uso/nyuso「顔」, uwanda/nyanda「平地,平原」,uwanja/nyanja「空き地」,uongo「うそ」, uundaji「工作」, uangalifu「注意」
一部の語では複数が第X類と同じ形になる.
ugonjwa/magonjwa「病気」,wingu/mawingu「雲」,ukumbusho/makumbusho「思い出させるもの」

4.2.国,国民,国語の名前について

スワヒリ語では,国名や地域名に第Y類接辞の U がついたものが多い.ただし形態上は第Y類であっても,国名や地名はすべて第V類に属するものとして扱われる.また,国民は第T類接辞 M,Wa をつけ,国語は第W類単数接辞の Ki をつけて表す.これらはすべて固有の名詞とみなされるので,大文字で書きはじめる.
Afrika「アフリカ」, Mwafrika/Waafrika「アフリカ人」Tanzania「タンザニア」,Mtanzania/Watanzania「タンザニア人」Kenya「ケニア」, Mkenya/Wakenya「ケニア人」Uganda「ウガンダ」, Mganda/Waganda「ウガンダ人」Zaire「ザイール」, Mzaire/Wazaire「ザイール人」Misri「エジプト」, Mmisri/Wamisri「エジプト人」Asia「アジア」, Mwasia/Waasia「アジア人」Uhindi「インド」, Mhindi/Wahindi「インド人」Bara Hindi「インド大陸,インド地域」Uchina「中国」, Mchina/Wachina「中国人」, Kichina「中国語」Ujapani「日本」, Mjapani/Wajapani「日本人」, Kijapani「日本語」Ulaya「ヨーロッパ」Uingereza「イギリス」,Mwingereza/Waingereza「イギリス人」,Kiingereza「英語」Ujerumani「ドイツ」, Mjerumani/Wajerumani「ドイツ人」, Kijerumani「ドイツ語」Ufaransa「フランス」, Mfaransa/Wafaransa「フランス人」, Kifaransa「フランス語」Amerika「アメリカ(大陸)」,Mwamerika/Waamerika「アメリカ人」Marekani「アメリカ合衆国」, Mmarekani/Wamarekani「アメリカ合衆国人」

4.3.名詞第Z類 場所群

第Z類は mahali(または pahali)「場所(単数,複数共通)」の1語だけからなり,接辞は pa, ku, m の3種類がこの1つの語に対して用いられる.この類はもともと3つの異なる名詞類だったと考えられる.ところが,接辞 pa, ku, m がついたそれぞれの名詞形(*patu, *kutu, *mutu )は失われ,それらにとってかわって外来語である mahali が使われるようになったのである. pahali の形は,接辞 pa に影響されてあとから作られたもので,mahali の方が一般的である.第Z類は,名詞接辞が接着した名詞の例をもたない唯一の例外的な名詞類である.また,この類では単数,複数の区別はない.

第Z類に属する名詞の例としては mahali「場所」だけだが,名詞とは無関係に,接辞だけが独立して使われることが多い.3種類の接辞は意味的に次のような区別がある.

pa 限定された場所,比較的せまい1地点を表す.
ku 限定されない広い場所,地域,方向などを表す.
m 場所,地域の内側を表す.
これらの接辞は mahali の他にも,「場所」や「時間」を意味する名詞全般に対して使われることがある.

4.4.名詞の数

スワヒリ語では,数の違いは名詞の意味の違いにかかわる重大な要素である.人やものを指し示すときには,それが単数であるか複数であるか常に意識する必要がある.ただし,ものによっては個体の判別がむずかしいものもあり,そのようなものについてはまとまった単位について数をかぞえるということをする.また,習慣的に単数形のみを用いたり,複数形のみを用いるという場合もある.次にいくつかの名詞について,そのような例を示す.

(1)単数形をおもに使うもの
mchele/michele「米」,ngano/ngano「麦,小麦」などでは,1粒の単位で数えるのではなく,あるまとまった量(たとえば1袋,1箱など)について単数,複数を考えるのが普通である.そのため,普通に米,麦などというときは,単数形だけを用いる.

joto/majoto「熱」,moto/mioto「火」,anga/anga「空」などでは,数えるということ自体がむずかしく,もっぱら単数形のみが使われる.

第Y類に属する名詞で,抽象的なものや物質を表す名詞は,単数形しか存在しないものが多い.

(2)複数形をおもに使うもの
haragwe/maharagwe「豆」,hindi/mahindi「とうもろこし」,muhogo/mihogo「キャッサバいも」,kiazi/viazi「じゃがいも」などでは,慣用的に複数形が多く用いられる.これらの名詞では,1つ(1本)の単位で数えることが物理的に可能だが,その場合でも「〜のうちの1つ」のような表現を使うことが多い.特に「豆」と「とうもろこし」の単数形などはほとんど用いられていない.

endeleo/maendeleo「進歩,発展」,jaribu/majaribu「試み」など,動作を表す名詞も複数形が多用される.これらはほとんど数えるという観念がないので,どんな場合にも複数形だけを用いてよい.ただし,意味がもう少し具体化されたものについては,jaribio/majaribio「実験」のように,単数形と複数形の区別が存在するものもある.

物質(液体)を表す名詞 maji「水」,maziwa「牛乳」,mafuta「油」,抽象的なことがらを表す mawasiliano「情報伝達」,marehemu「哀悼」などでは,複数形しか存在しない.物質を表す名詞を器などにいれて数える場合には,その器について単数,複数を考える.

(3)単数形,複数形の両方を使うもの
mkate/mikate「パン」,mchuzi/michuzi「スープ」,chakula/vyakula「食べ物,食事」などでは単数形も複数形も用いられる.これらは,1かたまり,または1切れ(1皿,1回)の単位で数を数える.ただ観念的に「パン」,「スープ」,「食べ物」一般をさすときは単数形が使われる.mchezo/michezo「競技,スポーツ,演奏,演技」では,1種類の競技,1回の試合(演奏)を単位にして数えるのが普通である.ただし,スポーツ全般についていうときは複数形を用いる.

名詞によっては,単数形と複数形とで意味が少し変わるものがある.mti/miti「木」,jiwe/mawe「石」などでは,それぞれの個体数によって単数と複数を使い分けるが,材料を表す場合には単数形だけを用いる.たとえば,mti は「1本の木」という意味の他に, 「木材」という意味で使われることもある.chupa/vyupa「鉄」,dhahabu/dhahabu「金」,fedha/fedha「銀」などでは,材質そのものを述べるときは単数形を用いるが,「鉄製品」「金細工」などをさすときは単数,複数両方が用いられる.

4.5.動詞の時制

「動詞」とは「〜する」という動作を表すことばをいう.スワヒリ語の動詞は通常,人称(動作の主体,動作の目的など)や時制(動作の行われる時間)を表す接辞をともなって,1つの完全な動詞形を形成する.時制を表す接辞をここでは「時制辞」と呼ぶ.時制はもともとその動詞が関係している時間帯を限定するものだが,スワヒリ語でいう時制はもっと広く,「命令」「条件」「仮想」などを表す接辞も時制の中に含める.時制辞とは,そのような動作の行われる時間や状況を限定する接辞で,この他にも多くの種類がある.時制辞が動詞に接着する位置はだいたい決まっているが,種類によっては例外的な位置につけられるものもある.

4.6.動詞の現在時制

「現在時制」とは,「現在,動作が進行している,継続している」状況を示す時制をいう.現在時制を表す接辞は na である.接辞は「主辞+時制辞+動詞語幹」の順序で接着する.現代スワヒリ語では,現在時制は「現在進行している動作,状態」だけでなく,時間を特定しないような場合にも使われる.

たとえば,Ninatembea「私は歩いてる(歩く)」という文で,ni- は主語「私は」を表す主辞,-na- は「現在時制」を表す時制辞,-tembea が「歩く」を意味する動詞(語幹)である.これは単一の語として書かれるが,意味的には完全な1つの文でもある.このように,スワヒリ語ではみかけ上では1つの語の中に,「主語」「動詞」そして「目的語」も加えた文の要素を含むことができる.動詞 -tembea「歩く」を用いて各人称による形を示す.
単数 複数
1人称 ninatembea「私は歩いてる」 tunatembea「私たちは歩いてる」
2人称 unatembea 「あなたは歩いてる」 mnatembea 「あなたたちは歩いてる」
3人称 anatembea 「彼(女)は歩いてる」 wanatembea「彼(女)たちは歩いてる」
動詞語幹の部分を他の動詞に変えれば,それぞれ他の動作を示すことができる.
次に,動詞 ogelea「泳ぐ」,kimbia「走る」,cheza「遊ぶ」,lala「寝る,眠る」,cheka「笑う」,kasirika「怒る」を使った例文を示す.

Ninaogelea.「私は泳いでる(泳ぐ).」 Tunakimbia.「私たちは走ってる(走る).」
Unacheza.「あなたは遊んでる(遊ぶ).」 Mnalala.「あなたたちは寝てる(寝る).」
Anacheka.「彼は笑ってる(笑う).」 Wanakasirika.「彼らは怒ってる(怒る).」
1人称単数ではしばしば,nina- が na- になる.(例:Natembea「私は歩いてる」)
この動詞形の前に主語「〜は」(名詞・代名詞)を補うことができ,その場合は主辞の人称を主語となる名詞・代名詞の人称に一致させる.第I類名詞(m-, wa-)は,3人称の主辞(a-, wa-)に一致する.
Mimi ninatembea. 「私は歩いてる.」 Sisi tunaogelea.「私たちは泳いでる.」
Wewe unacheka.「あなたは笑う.」 Ninyi mnacheza.「あなたたちは遊んでる.」
Yeye anakasirika.「彼は怒ってる.」 Wao wanakimbia.「彼らは走る.」
Mtoto analala.「子どもが眠ってる.」 Watoto wanacheza.「子どもたちが遊ぶ.」
上の例で,人称代名詞(mimi など)をともなった文は,人称代名詞をともなわない文に比べて主語を強調する意味を持つ.また,現在時制は,動作の進行・継続「〜している」だけでなく,特定の時間を指定しない一般的な動作「〜する」の意味にも解釈される.

動詞の後ろには,動作の目的,方向,対象などを示す語(名詞・代名詞)をおくことができる.スワヒリ語の動詞はほとんどそのままで目的語をとることができ,この場合には「〜を,〜に」にあたる意味は動詞語幹の中に含まれているものと考える.たとえばこのような動詞 fanya「〜をする,〜をつくる」,pika「〜を料理する」,penda「〜を愛する,〜が好きだ」,taka「〜を望む,〜が欲しい」,toka「〜を出る,〜から来る,〜出身である」,ingia「〜に入る」を使って例文を示すと,次のようになる.

Ninafanya kazi. 「私は仕事をする.」
Sisi tunapika chakula. 「私たちは食事をつくってる(料理してる).」
Unapenda michezo. 「あなたはスポーツが好きだ.」
Mnataka simu? 「あなたたちは電話が欲しい?」
Yeye anatoka Tanzania? 「彼はタンザニア出身ですか?」
Wanaingia shule. 「彼らは学校に入る(入学しようとしてる).」
Watoto wanapenda wanyama. 「子どもたちは動物が好きだ.」
多くの動詞は,目的語をとるかとらないかは自由なので,意味を示すときは「〜を,〜に」をいちいち書き表さない.

4.7.動詞の不定時制

動詞は語幹の部分とその前後に補われる人称接辞や時制辞の部分とに分けられる.動詞が語幹の形のままで使われることはまれで,なんらかの接辞が接着していることが多い.そこで,動詞語幹の形がわかりやすい時制として,不定時制の形がよく用いられる.不定時制とは「〜すること」という意味を表す時制をいう.不定時制の接辞は動詞の語幹以外には接着しないので,この形で示せば他の品詞と誤解されるおそれはない.不定時制の接辞部分をとればそのまま動詞語幹の形が得られる.動詞を表すのにとても便利な形である.

不定時制そのものは「〜すること」のような意味を持つが,ここでは形態だけを考えて,動詞を表す標準形として扱うことにする.これ以降,動詞はすべてこの不定時制の形で表す.ただし,辞書などでは動詞語幹の形で表示される.

不定時制(肯定)形は動詞語幹に不定時制を表す接辞 ku をつけた形である.スワヒリ語本来の動詞は語幹の語尾が母音 a で終わるものが多い.

kusema「言う,話す」,kusoma「読む」,kuandika「書く」,kufundisha「教える」,
kuimba「歌う」,kuweka「おく」,kuleta「もってくる」,kupata「得る,とる」,
kupeleka「送る」,kuruka「飛ぶ」,kusikiliza「聞く」,kuona「見る,会う」,
kuonyesha「みせる」,kukata「切る」,kujenga「建てる」,kuvunja「こわす」,
kuanguka「落ちる」,kulima「たがやす」,kuwinda「狩猟する」,kuota「育つ」,
kuogopa「おそれる」,kufumba「とじる」,kuuza「売る」,kulipa「払う」,
kusimama「立つ」,kungoja「待つ」,kunyesha「(雨などが)降る」,
kuzunguka「まわる」,kuzungumza「会話をする」,kuuma「いたむ」,kuchoka「疲れる」,kuelewa「わかる」,kuchelewa「遅れる」
ただし,enda「行く」と isha「終わる」は,不定時制の接辞は ku ではなく kw をつけて kwenda「行く」,kwisha「終わる」となる.

動詞語幹の語尾が aa,ia,ea,oa,ua などの母音の連続で終わるものは,もともとその2つの母音の間にはさまれていた子音( l 音)が脱落したためと考えられている.

kuambia「〜に言う」,kujua「知る」,kupokea「受けとる」,kutoa「出す」, kuchukua「運ぶ,もっていく」,kusikia「聞く,感じる」,kuangalia「見る」,kuvaa「着る」,kuvua「脱ぐ」,kuzaa「生む」,kufumbua「あける」,kununua「買う」,kukaa「いる,滞在する」,kuendelea「進む,発展する」,kufaa「役にたつ」,kung'aa「光る」,kuelea「知れる,広まる」
外来語系の動詞などでは語尾が a 以外の母音で終わるものもある.
kujaribu「試みる」,kujibu「答える」,kuhesabu「計算する」,kuhusu「関係する」,kudharau「軽べつする」,kusahau「忘れる」,kudhuru「じゃまする」,kurudi「帰る」,kuamini「信じる」,kusafiri「旅行する」,kuketi「すわる」,kubaki「残る」, kuishi「生きる,生活する」,kutii「従う」,kudhani「思う」,kufikiri「考える」, kuharibu「損なう,だめにする」,kudai「要求する」,kusamehe「許す」

4.8.単音節動詞の現在時制

動詞の中には,kula「食べる」のように,動詞語幹の部分が単音節(1音節)しか持たないものがいくつかある.kula の場合には,語幹は la だけ(1音節)である.このような動詞では,不定時制の接辞 ku をつけた形がそのまま動詞語幹として現在時制に用いられる.
単数 複数
1人称 ninakula「私は食べてる」 tunakula「私たちは食べてる」
2人称 unakula 「あなたは食べてる」 mnakula 「あなたたちは食べてる」
3人称 anakula 「彼(女)は食べてる」 wanakula「彼(女)たちは食べてる」
次にこのような単音節動詞の例をいくつか示す.
kuja「来る」,kunywa「飲む」,kufa「死ぬ」,kunya「小便する」,kucha「(夜が)明ける」
形態が特別である点を除けば,文の作り方は他の2音節以上の動詞と変わりがない.
Anakula chakula.「彼はごはんを食べてる.」
Wanakuja. 「彼らは来ます.」
単音節動詞 kupa「与える」は,この例外で,この動詞はいつも目的辞(動作の目的となる接辞)をともなうため,現在時制でも不定時制辞の ku をつけた形ではなく,目的辞と動詞語幹の接着した形がそのまま続く.

4.9.目的辞

人称接辞のうち,目的語(動作の目的となるもの)の代わりをするものを目的辞という.目的辞は,主辞と同じく主として動詞などに接着し,その動作の対象となるものを表す.目的辞は主辞と同様,1人称,2人称,3人称それぞれに単数と複数の区別がある.また,主辞と目的辞では形に違いがあるものとないものがある.それらを表にすると次のようになる.

1人称 2人称 3人称
単数 主 辞 ni 「私は」 u 「あなたは」 a 「彼(女)は」
目的辞 ni 「私を」 ku 「あなたを」 m 「彼(女)を」
複数 主 辞 tu 「私たちは」 m 「あなたたちは」 wa 「彼(女)たちは」
目的辞 tu 「私たちを」 wa,ku「あなたたちを」 wa 「彼(女)たちを」
2人称複数の目的辞については,wa と ku の両方が用いられる.ただし,wa については3人称複数とまぎらわしく,ku については2人称単数とまぎらわしいので,2人称複数であることを明確にするときは,人称代名詞 ninyi「あなたたち」(またはその短縮形)を文中につけ加えることが多い.

目的辞は,時勢辞 na と動詞語幹の間に接着させる.次に動詞 kupenda「〜を愛する,〜が好きだ」を使った例文を示す.

Ninakupenda. 「私はあなたを愛している.」
Unampenda. 「あなたは彼女を愛している.」
Ananipenda. 「彼女は私を愛している.」
Tunawapenda ninyi. 「私たちはあなたたちを愛している.」
Mnawapenda. 「あなたたちは彼らを愛している.」
Wanatupenda. 「彼らは私たちを愛している.」
上の例で Tunawapenda ninyi. の文は,目的辞 wa が2人称複数「あなたたち」に対してであることを明確にするために,代名詞の ninyi「あなたたち」がつけられている.この人称代名詞 ninyi を短縮化した接辞 -ni は,動詞と接着して一語となる.たとえばこれが動詞 penda に接着すると pendeni(<*penda-ni)となる.動詞 penda の最後の母音a が e に変わるのは,接辞 -ni の母音 i の影響による.たとえば「私たちはあなたたちを愛している」の意味で,次のどの言い方も可能である.
Tunawapenda ninyi. 「私たちはあなたたちを愛している.」
Tunakupenda ninyi. 「私たちはあなたたちを愛している.」
Tunawapendeni. 「私たちはあなたたちを愛している.」
Tunakupendeni. 「私たちはあなたたちを愛している.」
このような変化は他の動詞についてもまったく同じように起こる.

3人称単数の目的辞 m は,その後ろに母音で始まる動詞が続くと,m は mw と表記される.

Tunamwona. 「私たちは彼に会う.」